◆歯周治療は患者さんと歯科医の共同作業
歯周病の予後は、以下の3つに大きく依存します。
(1) 初診時にどのくらいまで疾病が進行していたか
(2) 危険因子の把握が正しくなされ、対処されたか
(3) 患者さんのコンプライアンスが高いか(医療担当者の指示や注意をよく守り実行するか)
歯周病の治療は共同作業
慢性の病気である歯周病は、歯科医師や歯科衛生士など、術者の治療だけでは治りません。患者さんと術者の共同作業なのですから、患者さん自身が、歯周病についてよく理解する必要があります。
このような目的で治療をします。
- 歯肉の炎症症状を止める
- 歯周ポケット内の諸症状(出血・排膿・浸出物の存在等)を止める
- 付着の喪失と歯槽骨の吸収を停止させ、安定させる
- 再感染のもとになる歯周ポケットをできるだけ減少させる
- 再感染と炎症の再発をおさえる
- できれば歯根面への新付着をはかる
- 動揺歯を安定させる
- 健康で機能的な咬合を確立させる
- 外観的にも美しい歯周組織を創り出す
患者さん心得:これだけは覚えておきましょう
- 歯周病は細菌が原因の感染症である
- 組織学、細菌学的には、歯周ポケットからバイオフィルム(歯石やプラーク)を完全に除去することは不可能である
- 慢性疾患であり、完全な治癒は難しいが、コントロールはできる
- 治療後は、メインテナンスをしなければ感染力が抵抗力を上回り、再び付着の喪失が起こりえる